ダイヤモンド電極

ダイヤモンド電極は酸素発生電位が高く、オゾン発生や難分解性有機物の分解等に適した電極であり、白金やDSE®では不可能であった電極反応を行うことが可能となります。

柔軟性

高性能

頑健性

長寿命

電気分解の電圧

水の電気分解を起こすために必要な理論分解電圧は約1.2ボルト(図1ピンク線)ですが、実際にはこの電圧では電気分解は進行しません。電気分解するためには1.2ボルト以上の電圧を必要とし、この水の電気分解に必要な最低電圧を“電位窓”と呼びます。図1では、酸素発生が始まる電位と水素発生が始まる電位の差が電位窓になります。この電位窓は電極の種類によって異なります。

ダイヤモンド電極の電位窓

⽩⾦や貴⾦属被覆チタン電極などの電極では約2ボルトです(図1茶線)。ダイヤモンド電極では、3〜5ボルトまで広がります(図1⻘線、⾚線)。 

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広い電位窓

広い電位窓

図1 電流電位曲線(1M-H2SO4)中で測定

電位窓が広いと、水の電気分解反応に代わって、通常電気分解しにくい物質の酸化、還元反応を優先的に進行させることができます。この性質を利用すると、従来の電気化学システムでは不可能であった物質の分解や合成が可能となります。

ダイヤモンド電極はホウ素ドーピングにより電気伝導性を付与することができます。ホウ素濃度により半導体、導電体、超導電体を作製することができ、比較的高濃度(10²³cm-³ 程度)にドープした導電性ダイヤモンドを電気化学電極として利用する「ダイヤモンド電極」は、従来の貴金属電極やカーボン電極を代替し、多くの応用が期待できる次世代電極材料として注目されています。当社のダイヤモンド電極は0.1~10μmの多結晶粒子が緻密に分布している様子が分かります(図2参照)。

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図2 ダイヤモンド電極のSEM画像及びレーザー顕微鏡による画像

図2 ダイヤモンド電極のSEM画像及びレーザー顕微鏡による画像

図3 ラマンスペクトル図( 1333㎝-1がダイヤモンドを示すピーク)

ダイヤモンド電極のラインナップ

デノラ・ペルメレックでは、ダイヤモンド電極( BDD: Boron Doped Diamond の略)単体だけではなく、BDDを応用した製品ラインナップを2種類ご用意しております。

1)スパイラルモジュール

イオン交換膜を⽤いた⼩型、簡便なオゾン⽔⽣成BDDスパイラルモジュールについて紹介します。東京⼯業⾼等専⾨学校の北折教授と共に開発したものです。電解部(電極-膜接合体)を【図4】に⽰します。棒状のBDD 陽極に、イオン交換膜と⽔素発⽣する陰極線を巻きつけた構造となっています。 

本接合体では、⽔素とオゾン、酸素 を分離しない1 室セル構造のため、pH 分離がなく、Ca, Mg等の硬度成分が付着しにくく、⽔道⽔を原料とすることが可能です。15V の定電圧(8 分ON + 2分OFF の繰り返し運転)で稼働させた場合の、電流値とオゾン ⽔濃度の経時変化を【図5】に⽰します。電流値は0.5A 程度で安定し、⽔質の影響が懸念されたにもかかわらず、1 〜 2mg dm-3 のオゾン⽔が300 時間にわたって安定して得られました。 

電流効率は、純⽔原料の場合に⽐較して3 分の1 程度に減少しますが、これは電流分布の変化によるオゾン電流効率の減少、および塩化物イオン、有効塩素および硬度成分などの不純物の存在、陰極で⽣成するアルカリ成分との反応などにより、⽣成したオゾンが分解するためと推定されます(特許4410155及び4980016)。 

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図4 BDDスパイラルモジュールの外観

図5 水道水電解における電解特性変化

図7 BDDクリップの外観

2)クリップ

家庭、外出先において、簡易に、オゾン、過酸化⽔素、次亜塩素酸等を含む電解⽔を⽣成することのできる⼩型のBDDクリップをご紹介します。従来の巻き線型電極、即ちBDDスパイラルモジュールに代えて、新たなクリップ型膜―電極接合体構造を採⽤するため、以下のような効果を発揮することができます。 

1)膜-電極接合体の寸法が小さく、設置場所の自由度が大きく、小型の膜-電極接合 体としての汎用性が増大します。

2)イオン交換膜を陽極に安定した圧力で保持し、電解することが出来ます。

3)膜-電極接合体の組み立てが、陰極線の巻き線方式から、陰極への陽極によるイオ ン交換膜嵌め込み方式に簡略化され、生産性が向上してます。

4)組立は高価な巻き線機でなく、安価な嵌め込み機で可能です。

以上の特徴を有するBDDクリップは各種スプレー型オゾン水生成装置への組み込みに適切な形状になっております(特許5710691)。

印加電流を50、100、150mAの3条件で電解した結果が下図になります。

電解条件は原水がイオン交換水、原水容量が30㎖、電解時間が30秒、液温が15℃になります。

(図7  BDDクリップの外観)

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本電極の用途

オゾン水生成

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A)ペットの洗浄

B)業務用洗濯機

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C)野菜洗浄

D)オゾン水スプレー

過酸化物の生成

A)過硫酸塩、半導体洗浄

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B)過塩素酸塩や爆発物によく使用される強力な酸化剤

C)過炭酸、漂白剤、除菌剤、消臭剤